社労士試験における科目ごとの攻略ヒントです。
今回は「労働者災害補償保険法」です。
専門性が急に高まる科目
労働者災害補償保険法は、「労災法」と略して呼ばれることが多いです。
働く人にとって「労災」という単語は割と有名かもしれません。
労災は、職場で怪我をしたような場合に給付が行われるもので、使用者側に支払い能力がなくても国が保障してくれるものです。
私自身も学生時代にアルバイトを探しているときに、「労災」という単語を意識していた記憶があります。
(ちなみにもっと意識していたのは「社保」でした)
社保という単語が出てきたので少しだけ解説しておきます。
社保というのは社会保険の略で、大きくくくると「健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険」の5つがあります。
このうち、「雇用保険と労災保険」は労働保険と呼ばれることもあって、社会保険とは別として括られたりします。
一般的には5つを指すことが多いので、アルバイト情報誌で「社保完備」と書かれていれば、基本的には労働保険も含めた保険に入ることになります。
さて、今回のテーマである、社会保険の1つであり労働保険でもある「労災保険」の話に戻しましょう。
ここまでに頻繁に出てきた単語があります。
それは「保険」です。
社会保険労務士試験の科目3つ目にして「保険科目」が登場することになります。
保険ということで、これまで以上に実践的で、より細かな内容になってきます。
近年は難化傾向
おそらく資格の予備校では触れない部分でしょうし、一般的に売られている書籍にも書かれていない、そんな労災法の闇を暴露したいと思います。
労災法はテキストと本試験とで、かなりの温度差がある科目です。
本試験で要求される知識レベルを100としたときに、テキストに書かれている知識レベルは50もない気がします。
体感的には30くらいでしょうか。
つまり、テキストをしっかり覚えたとしても、本試験で半分取れるかどうかくらいの水準にしかならないということです。
近年の労災法は、テキストで重要と書かれてあるところからの出題はほとんどなく、テキストに小さく書かれている、あるいは触れられてすらいない部分からの出題が目立ちます。
テキストを読んで過去問にとりかかると、
「あれ、解けない・・・」
「こんなのテキストに書いてなかったじゃん・・・」
となること間違いなしです。
労災法の対策
労災法の出題は、選択式が1問(空欄5個)、択一式が7問です。
択一式は労働保険徴収法3問とセットになっています。
労災法の対策は本当に難しいです。
テキストに載っていない部分からの出題が多いので、対策の立てようがないというのが本音です。
とはいえ、テキストの内容を軽視するのはNGです。
直接テキストの内容が問われることは少ないですが、「その知識を前提にして考えて解きましょう」的な応用問題が多く出題されるからです。
なぜそういう仕組みがあるのか、大体の判断基準はどうなっているのかをテキストや過去問で確認することが重要です。
過去問で出てきた判例等は要チェックですが、あまり深入りしてはいけません。
キリがないですし、全部覚えようと思っても無理な話です。
その判例がそのまま再出題される可能性も低いです。
自分の感覚とは違った結論になっているものをピックアップして覚えると、比較的効率よく学習することができると思います。
令和4年の選択式では、過去に択一式で出題された論点からの出題がありました。
細かな論点でも過去に出題されたことのある部分はチェックしておいた方がいいかもしれません。
本試験で難しい問題が出題された場合には、足切り回避くらいのスコアが取れればいい、くらいの感覚で臨むのが精神的にも良いかと思います。
それくらい高得点が取りにくい科目ですので、労災法に余分に時間をかけることはせずに、比較的点数のとりやすいと言われている社会保険科目に時間をかけた方が、全体としては良い結果につながるような気がします。